第1回 シビックプライドと都市のコミュニケーションデザイン
UDCKまちづくりスクール第1回 2009年11月4日(水曜)
講師 伊藤香織氏(東大理科大学准教授)
東京大学大学院修了,博士(工学).日本学術振興会特別研究員を経て,2002年より東京大学空間情報科学研究センター助手,2005年より東京理科大学専任講師,2008年より現職.

▼19:00~
まちづくりスクール2009秋コースの概要説明
・・・UDCKディレクター 丹羽 由佳理
2009年度秋コースについて概要説明を行い、参加者の積極的な取り組みを訴求。続いて、第1回講座内容及び進行予定を説明。 19:05~
UDCKの役割・・・UDCKディレクター 前田 英寿
UDCKを当地域まちづくり推進の為に協働する場として活用してほしい。
▼19:10~
講義「シビックプライドと都市のコミュニケーションデザイン」
・・・伊藤香織氏(東大理科大学准教授)
<講義のポイント>
参考になるHP:http://www.shikoku.meti.go.jp/soshiki/skh_a3/5_houkoku/080410/brandforumhoukoku.pdf

1.「シビックプライド(Civic Pride)」とは
「都市に対する誇りや愛着」を意味する。この都市をより良い場所にするために自分自身が関わっているという意識を伴う、当事者意識に基づく自負心。元来、都市が具有すると考えられていたが、流動性が高まり社会の構成が複雑化している為シビック・プライドが自然に醸成されるとは限られなくなって来ている。
2.「コミュ二ケーションをデザインする」とは
多くの市民が潜在的に有する「シビック・プライド」に具体的な形を与え、まちづくりの原動力にする、また未来を建設していく「都市」の”気分”を作っていくことを意味する
3.I Amsterdam 宣言
アムステルダムに住む人達が”I Amsterdam”という時、彼らはハッキリと自分たちのまちとして選んでいる恩恵を、機会を、そしてその素晴らしさを表している、と言えよう。(市民の声から)
4.シビックプライドキャンペーンの事例
左図はバーミンガム市(イギリス)が2003年から行っているキャンペーンのバナー『You are your city :clean and safe』「道にごみを捨てないように」というキャンペーンであるが単なるバナー広告ではなく、「あなたとこのまちの関係を考えよう」という狙いがある。市民が地域に対して責任を負い誇りを持つために「道にごみを捨てないように」というキャンペーンであるが、市民は周りの環境(安全・清潔)に関心を持つ必要がありますよ」と意識向上を呼びかけるキャンペーンである。
5.「都市のコミュ二ケーションをデザイン事例」

(1)バルセロナ Barcelona
1970年代末のスペイン民主化以来、先進的な都市再生に取り組み、市民が積極的に参画したコミュニケーション・チームを結成。この組織が全市的重要課題であることを徹底した。
バルセロナ・コミュニケーション局・・・市民に呼びかける様々なキャンペーンと市民の意識調査を行っている。『BarucelonaBatega!』 (バルセロナがドキドキする)というキャンペーン:あなた(市民)がドキドキすると、私(バルセロナ)もドキドキする、一緒にまちを作っていきましょう!という意味。従来からある市標(市のマーク)の他に、市に親しみを持ってまちの顔となるようなロゴを作成した。このロゴを使って、都市バルセロナが主体的に、世界に対して意見表明も行っている。「バルセロナは夢を叶えるまち」と市民を鼓舞している。
(2)ハンブルク:ハーフェンシティ(Hamburg Hafencity)
中世よりハンザ同盟の中心的役割を果たしてきたハンブルクにおいて、重要な港であった。エルベ川沿いの再開発地区が「ハーフェンシティ」運輸の役割を担えなくなった港湾地区に、「ハーフェンシティ・ハンブルグ・インフォセンター」という、まちの開発に関する情報センターを、開発に先立って作った。まちの将来像の模型を設置してこれまでの歴史やこれからのまちのデザイン情報を提供。模型は随時更新され、市民だけでなく、観光客や海外から年間20万人の人が訪れている。センターに隣接して「展望台」があり、現場が動くにつれて展望台も移動するようになっている。
(3)ニューキャッスル・ゲイツヘッド(イギリス)・・建築・街並みの事例
イギリス北部のタイン川を挟んだ双子都市。かつては鉱山があり、造船業で栄えていたが鉱山閉鎖と造船業の斜陽化でたちまち衰退、失業率も高く、荒れたまちとなっていた。A.ゴムリー作成の「北の天使(エンジェル)」という鉄の彫刻完成をきっかけとして文化都市として邁進し、自身を取り戻した。
2001年歩行者橋、2002年現代美術館、2004年音楽ホールが作られたが、たび重ねたワークショップを通じて市民にその意義を伝え、意識を高めることに努力した。風景として輝くのは、単に美しいだけでなく人の心の中で輝いていることが大切。
(4)新潟 Niigata・・・ 郊外化が進み、町の中心は空洞化が進む
①I ラブ NG アイシテルニイガタ・・アルビレックス新潟と連携してTシャツ作成など
②上古町商店街のリノベーションを通じたオリジナリティある店舗を展開中
③「にいがた湊物語」・・絵本による新潟港のプロモーション活動推進
④地域商品の開発・・・商店街オリジナルグッズを展開
若者が中心となって「商店街のこと」を発信し続ける。フリーペーパーの頒布など
5.シビックプライドの醸成に向けて
コミュニケーションをデザインする。届ける方法は滝にわたる。市民を巻き込み意識を共有。都市を「理解」し、「共感」し、「体験」し、「アイデンティティ」を感じること相手に届くコミュニケーションでシビックプライドに灯をともす都市に一定の割合で存在する積極的行動をとる人々が推進役になり、輪を広げる大多数の人がまちに興味を持つようになれば、都市の地力が上がってくる。

▼20:15~
質疑応答
「経済と開発の関係、「柏の葉におけるまちづくり」に対するシビックプライドの持ち方などについて、受講生から積極的な質問が出された。「自分達が参加しているのだ!」というように「まちの建設過程を共有することがポイントではないか、というやり取りがなされた。
▼20:35~
テーブルを囲み、参加者全員で懇親の集い
丹羽ディレクターの司会で、参加者が一人ひとりが「自己紹介」「ワンポイントスピーチ」実施参加者の気持ちが一つに集約されたような盛り上がりを見せ、大好評!講師の話を聞くだけの一方通行ではない参加者の「参画意欲」が良く現われた集いであった。参加者の中には、つくばなど他地域からの人、都市計画担当者、設計事務所の人、まちづくりを研究している現役大学生、老若男女様々な年齢層の人がいて交流が進んだ。