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(レポート)2010.11.20 柏の葉の自然環境とこれからのまちづくりを考える

2010年11月20日(土)

日時:2010年11月20日(土)10:00~11:30視察 13:00~15:00フォーラム
主催:UDCK

 大規模な都市開発が進む柏の葉では、緑地環境の保全・創出等により、良質な環境空間形成を図りながら「次世代環境都市」の実現を目指しています。その中でも特に、公園や道路、調整池の整備等に際して、いかに既存の自然環境の保全・再生や新たな緑の創出を図るかが、重要なテーマとなっています。
 そこで、柏の葉における自然環境の現状報告をもとに、本地域における緑地環境形成の方向性や、その整備・管理のあり方等について、学識経験者、開発に関わる行政や民間、そして市民が一緒になって、検討・議論を深める場として、UDCK環境フォーラム2010を開催しました。テーマは、「柏の葉の自然環境とこれからのまちづくりを考える」です。

 午前中は、こんぶくろ池からの細流が流れるキャンパス地区北部エリアの現地視察を行い、午後はUDCKにて、フォーラムを行いました。

1.現地視察(10時~11時半)

 午前10時に田中中学裏門に集合、雨予想もありましたが晴天(時々曇り)に恵まれ、柏自然ウォッチャーズのメンバー及び開発整備に関わる空間部会メンバー、一般市民参加者など15名が集まりました。
 最初に、かしはなでも協力いただいている花工房カモミールを視察し、代表の笠井さんより活動の概要のほか、付近における水路の埋め立て等の状況などについて、お話いただきました。
 その後、香取神社裏に残された自然林を見たのち、こんぶくろ池からの水流に沿って視察。既に水路付近の伐採や湿地の盛土が進む現場では、失われつつある自然を惜しむ声も聞かれました。さらに北側に残る湿地(ヨシ原)を視察したのち、田中中学まで戻り解散しました。
 もともとあった広大な湿地環境を垣間見ると同時に、着々と事業が進むなかで、その代償として失われていく自然環境を、参加者一同実感する現地視察となりました。
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2.フォーラム(13時~15時15分)

 地域住民の方、学生なども含め、午後のフォーラムには60名程度の来場者があり、このエリアの自然環境や事業計画に対する興味の高さがうかがえました。
 フォーラムのプログラムは以下のとおりです。

1 開会のあいさつ UDCK副センター長 三牧浩也氏

2 報告・講演
1)基調報告① 柏市自然環境調査及び補足調査にみる、北部地域の自然環境の現状
      柏自然ウォッチャーズ 青木保雄氏
2)基調報告② 柏の葉キャンパスタウン構想 空間デザイン部会における検討状況
      株式会社都市環境研究所 作山康氏
3)基調講演  自然環境とまちの「共生」とは
      東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 横張真氏

3 パネルディスカッション
1)パネルディスカッション
    パネラー :横張真氏、青木保雄氏、作山康氏、三牧浩也氏
    進  行 :松清智洋氏(柏市民活動センター)
2)会場との意見交換

 各パネラーからの報告やパネルディスカッションでの発言概要は以下のとおりです。

①青木氏
・自然環境調査の結果、正連寺エリアには貴重な湿地性の自然環境が残っていることがわかったが、開発の中でほとんどが失われる。せめて公園として整備される部分について、自然環境を残したい。
・田中の子供たちは何時間もゴミ拾いに付き合ってくれた。自然に対する子供たちの感覚が育まれるような環境を大事にしたい。
・人を巻き込むキーワードは「水」。水が見える街か、見えない街かで全然違う。
②作山氏
・古い時代に決められた区画整理の計画の上に、どこまで魅力的な環境を実現できるか、関係者で検討している。行政だけではできることは限られるが、「公民学」の連携で、できることを少しでも実現したい。
・祭からでも、地域のコミュニティや街への関わりが生まれてくる。そういうところから、地域の環境管理活動につなげていくことも考えられる。
③横張氏
・かつて人の手で自然破壊を行い、手本を過去に求めることができない場所で、あえて何もせずに自然を再生させ公園化している例が欧米にある。日本の里山も、人の営みにあわせてその姿を大きく変化させてきたものであり、固定的なものではない。ランドスケープが人の営みに合わせて変化するものであるならば、「今」手にしている自然をベースに、未来につなぐ新たな自然の作り方を考えるべきではないか。
・住民といっても、自然保全活動等を行う住民グループと一般住民は違う。特段自然に興味のない一般の方をどう巻き込むことができるのかがポイント。
・ランドスケープは感じるもの。暗渠にしてせせらぎを作るよりは、暗渠の一部が外から見えていて、「なんか変だぞ」と思わせる方が、意味がある。
・これからこの場でどのような開発をするのか。「おじいちゃん」に見識があったのかどうかを子孫から問われている。
④三牧氏
・どのような構想や開発計画が描かれているのか、市民の方に一層開示していく必要がある。特に、公園や緑地では管理の話が重要であり、市民グループや実際に住んでいる方々と共に議論をしながら、柏の葉における自然への価値観を共に創り育てていくことが大事だと考えている。今後ともこのような場を設けながら、検討を進めたい。
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 全体を通して、見せかけではなく「感じる」ランドスケープを「今」に立脚した形で創り出す必要性、新たなまちにおいて一般市民にも「価値観」が共有される「自然」環境をどこに設定するか、一般住民をいかに巻き込むか、子供の視点を意識することや「水」を見せることの意味などについて、今後につながる議論がなされました。

 特に、柏の葉エリアの空間整備について、市民の方々に情報提供し、開かれた形で検討するフォーラムとしては今回が初めての試みでしたが、市民の方々の関心の高さが感じられ、有意義なフォーラムとなりました。今後もこうした機会を設けながら、市民に愛される魅力的な空間づくりを実現していきたいと思います。

※関連記事⇒デザインマネジメント「景観まちづくりイベント

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