(レポート)UDCKまちづくりスクール2015前期、終了しました!
2015年07月31日(金)
UDCKまちづくりスクール2015前期のテーマは「都市の活力を支えるソウゾウ―創造性と想像力―」でした。今年で9年目、通算16回目が終了しました。今回も非常に高い出席率でご参加いただきまして、本当にありがとうございました。30名の受講生を迎え、5回中4回以上出席の修了生は今回20名でした。
6月6日から約1か月半、全5回の連続講座を開講しました。
第1回 「イントロダクション~柏の葉の取り組み~」
-出口敦氏(UDCKセンター長/東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授)
-小山田裕彦氏(UDCK アートコミュニケーションディレクター)
-大須賀芳宏氏(KOIL[柏の葉オープンイノベーションラボ] コミュニケーションディレクター)
初回は出口校長より柏の葉の概要と創造都市に関するイントロダクション。
そして、柏の葉にまつわる創造・想像の話として、小山田氏にはピノキオプロジェクトを中心に話していただきながら柏の葉アート展開のこれまでについて、大須賀氏からはイノベーションの話やKOIL内で起こっているコラボレーションやコミュニティビジネスのお話を頂きました。
第2回 「創造性が都市を変える~横浜市:創造都市の取り組み~」
-秋元康幸氏(横浜市建築局企画部長/元・文化観光局創造都市推進部長)
横浜市が行う創造都市事業について、行政としての位置づけや目標を伺い、実際のプロジェクト「CREATIVE CITY」「芸術不動産」「横浜トリエンナーレ」などの事例の紹介していただきました。後半はたまプラーザ駅周辺で行われている次世代郊外まちづくりの話をしていただきました。受講生は住民創発プロジェクトに興味が高かった模様。
第3回 「アートの拠点でまちと文化をつなぐ」
-中村政人氏(3331 Arts Chiyoda 統括ディレクター/東京藝術大学美術学部教授)
アーツ千代田3331やTRANS ARTS TOKYO、ゼロダテの事例の他、街なかにアートを仕掛けるようになったきっかけ、価値と価値のスキマを創造する領域横断的な考えや新しい価値が生まれるためのクリエイティブプロセスなどの話、学校の教育やお金では買うことのできない文化資本の話などをしていただきました。
第4回 「未来に向けた市民のソウゾウ性の活かし方を考える」
-長津結一郎氏(NPO法人多様性と境界に関する対話と表現の研究所/慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所)
自分の資源を再認識し、境界に関する対話のワークショップを行っていただきました。ワールドカフェ方式で行った「〈私〉の思いがつながっているまちってどんなまち?」では他者の感じ方の違いが受講生にとって大きな刺激になったようです。
第5回「市民のソウゾウ性を街に還元する」
-熊倉純子氏(取手アートプロジェクト実施本部長/東京藝術大学音楽学部教授)
「サンセルフホテル」で起こる住民の妄想、北千住で行われている「Memorial Rebirth千住」の市民の関わりの変化の事例を用いながら、アーティストと市民の関係性が変わってきていて共創的芸術活動が起こっていること、人の関係を資本と捉える社会関係資本が形成され、その中でも橋渡し型社会関係資本が新たなネットワークを作り出すことなどをお話しいただきました。
柏の葉キャンパス駅前は昨年度にゲートスクエアができて、とてもきれいになりました。(夜の風景もとてもきれいです)
建物や道がどんどんできていく一方で「味気ない」「ドライな感じがする」「雑多な感じがほしい」といった声も時々聞かれます。それって何が足りないことの表れなのでしょうか?雑多な感じとはどうすれば生まれるのでしょうか?
そんな疑問から今回のテーマを設定させていただきました。
「カタチのないもの」はよくわからない、と感じるかもしれません。でも日々生活する中で人々はカタチのない「何か」を明らかに欲していて、うまく言葉にできなくてもそれがあるかないかきちんと感じ取っているのではないかなと日々思っています。まだまだ掘り下げていく必要のある分野ですが、引き続き考える場を設けていきたいと思います。
各講師がご紹介した事例のように、創造・想像が街になんらか有効な事例は一様ではありません。鍵となる事象は共通していたとしても、そこにたどり着くまでのプロセスやかかった時間もケースバイケースです。
それでも創造性も想像力も、街にとって欠かせないもので、これからはもっと意識されていくものだと感じています。
参加いただいた方は柏の葉近隣住民・在勤の方が半数以上を占め、その他にも大学関係者、行政職員、アートに関心がある方、県外や西東京からもご参加いただきました。それぞれ異なるバックグランドをもっていらっしゃったので、講義に対する関心の場所も様々でした。受講いただいた皆様、ありがとうございました。みなさんにとって新たな刺激になったり、何か得るものがあれば幸いです。
(UDCKにて過去の講義資料が閲覧できますので、よろしければご覧ください。)
スクール担当 豊田