2008.03-
PLS(Public Life Space)は、柏の葉イノベーション・デザイン研究機構(東京大学、三協フロンテア、三井不動産、柏商工会議所)が主体となった新しい時代の公共空間のあり方を探る実証実験です。三協フロンテア株式会社が事業展開する「ユニットハウス」を使い、UDCK敷地内に実験施設PLSを3棟設置、試験運用してきました。
従来の公共施設には、国や自治体が整備して市民に提供する側面が少なからずありました。「小さな」公共空間は、市民の側から自発的な活動を起こし、自由で使いやすい公共空間を創り出す試みであり、そこには次の3つの意味が込められています。
(1)公共事業と公共施設の見直し:
固定的な箱モノ型公共施設に対し、既成ユニットハウスを用いた移動・増減・転用が可能な可変構造とすることにより、ニーズに迅速・柔軟・きめ細かく対応した設置が可能となる。
(2)公共の担い手とサービスの多様化:
公共の担い手は、行政から住民、NPO、地域組織に多様化している。開発待機地の活用や空き店舗利用など、民間部門ながら公共性が強い課題に対し、小さな公共空間が力を発揮する。
(3)個人が持つ公共性:
個人の趣味や文化活動は他人と共有する部分が多々あり、そこには小さな公共性がある。小さな公共空間は、個人の活動や小ビジネスの公共性を顕在化し発展させる仕組みとなる。
もともとこの取り組みは、東京大学大学院の演習科目「都市環境デザインスタジオ」の2007年度プログラムの中での「セルフデザイン工房」の提案・企画から始まりました。この提案に対して、柏の葉イノベーション・デザイン研究機構が空間単位としてユニットハウスを紹介し、実験事業の実施に向けた検討が始まりました。そして、2007年度の千葉県の助成を受けて、3タイプの実験施設の設置が実現しました。
PLSは、2008年3月にオープンして以来、様々な企画を通じて市民に活用され、UDCKと共に駅前の「公共」活動拠点となってきました。UDCKの移転に伴い、PLSも2010年11月に移設され、新たな場所における新たな機能の付与、これに伴う改装など、その特性を活かした次の展開=実証実験第2期を開始しています(一部施設は2011年2月から運用)。
2013年春より、活発化してきた市民活動利用のニーズや、より地域に開かれた活動の受け皿として、また、このまちが掲げているまちのイメージを地域の方と共有できるように、「プロジェクトハウス」と「ビジョンブックス」として新たなスタートを切りました。
◆第3期PLSの詳細と使用について WEB柏の葉ナビ「まちの活動スペース | PLSとは?」
第1期PLS
インフォボックス: 市役所支所の最小単位をイメージし、「街の案内所」として駅前広場側の道路沿いにおいて、主にUDCK 関連イベントのチラシ、行政資料、パンフレット等の閲覧・配布を行う。印刷媒体だけでなく、地図やインフォメーションボードも置き、市民活動や地域情報を更新した。
プロジェクトハウス: 研究や制作の過程や成果を見せながら、市民が気軽に参加できる作業室(兼)展示室で、キッチン・シャワー・休憩室等を備える滞在空間も備えている。アーティストの滞在やワークショプ、市民による企画展など様々な企画利用が展開された。
ブックサービス: 書斎と図書館の中間的な小規模私設図書室をイメージし、中古本を蔵書としながら1 階を公開型の閲覧スペース、2 階は書庫を兼ねた読書スペースとした。1 階には公衆電源「espot」やソファも設けられ、市民の日常的な憩いの空間として機能した。
第2期PLS
インフォボックス: 運用は停止していたが、柏の葉の街が目指すビジョンを感じられる情報冊子やまちづくりに関するイベントの案内がある情報発信拠点としての運用再開を目指して準備を進めた。
プロジェクトハウス: 東京大学柏キャンパスやTX沿線大学とUDCKの連携拠点として機能することを意図し、都市環境デザインスタジオや学生プロジェクトの活動場所として利用されている。なお、第1期における滞在空間部分は、第2期では倉庫に転用された。。
ブックサービス: 千葉大学柏の葉キャンパスの敷地内に移設され、同大学が主催の「カレッジリンク・プログラム」の修了生が中心となって立ち上げた「(一社)柏の葉カレッジリンク・ネットワーク」の活動拠点として活用された。